理論過去問
PR

第三種電気主任技術者_平成23年度理論_問01

だなお

静電界に関する問題(導体表面と電界の性質)

問題文(要約)

次の(1)~(5)の静電界に関する記述のうち、誤っているものを一つ選ぶ問題です。
1) 電気力線は導体表面に垂直に出入りする
2) 帯電していない中空球導体Bが接地されていないとき、帯電した導体Aを導体Bで包んだとしても導体Bの外部に電界ができる
3) 電荷\( Q \)から出る電気力線の数は誘電率\( \varepsilon \)によって異なる
4) 導体が帯電するとき、電荷は導体の表面にだけ分布する
5) 導体内部は等電位であり、電界は零である

重要度:必ず理解

静電気力線や導体内外の電界の分布など、基礎的かつ重要な内容です。試験でも定番論点なので、確実に押さえておきましょう。

出題意図とポイント

  • 静電界における導体表面の性質(電界は導体表面に垂直、導体内部では電界が零)
  • 帯電した導体を別の導体で包むと外部に及ぼす影響はどうなるか
  • 誘電率が電気力線や電荷の振る舞いにどう関わるか

静電遮蔽(シールド)の考え方が理解のポイントです。中空導体であっても、内部の電荷を外部に漏らさない「遮蔽効果」が働くかどうかが問われています。

正答番号:2

(2) の「帯電した導体Aを、帯電していない・接地されていない中空球導体Bで包んでも、外部に電界ができる」という記述が誤りです。実際には、導体Bが外部との接続(アース)がなくても、B全体として帯電していなければ、その外部に電界は生じません。これは「静電遮蔽」の典型的な性質によるものです。


解法の手順

STEP1. 基本の公式等を確認

  • 静電気力線は導体表面に対して常に垂直に出入りします。
  • 導体内部が静電平衡状態にあるとき、導体内の電界は\( 0 \)で、導体表面にしか電荷は存在しません。
  • 導体が中空構造になっている場合、内部に他の帯電体があっても、その導体自体にトータルで電荷が生じなければ外部には電界が及ばない(静電遮蔽)という性質があります。
  • 誘電率\( \varepsilon \)が異なる媒質中では、同じ電荷\( Q \)でも電気力線の数(厳密には電束)が変わってきますが、これは(3) が示すとおり正しい知識です。

STEP2. 数値を代入して計算

特に数値計算が必要な問題ではありませんが、考え方としては、導体内部のガウス法則を適用すれば「内部の電界が0 → 外部への電界も影響がない」ことがわかります。

STEP3. 答えを導く

(2) のみが明らかに物理法則に反する内容を含んでいるため、これが誤りであると結論づけます。


まとめ

今回の学習ポイントのまとめ

  • 静電遮蔽の考え方:中空導体で内部が帯電していても、外部に電界が漏れないという性質
  • 導体表面での電界は垂直成分のみ存在する
  • 導体の内部は等電位で電界は0
  • 誘電率による電束(電気力線数)の違い

このように静電気学の基礎をしっかり理解することで、導体や絶縁物の働き方の原理が見えてきます。「なぜ導体の外側に電界が生じないのか?」という疑問には、ガウスの法則と導体の性質から説明できるようにしておきましょう。苦手意識を持たず、確実に得点につなげたい分野です。

記事URLをコピーしました