正方形コイルと円形コイルの中心点磁界比較に関する問題
問題文(要約)
正方形コイル(1辺が \( a \,\mathrm{m} \)) と円形コイル(直径が \( a \,\mathrm{m} \)) に同じ直流電流 \( I \,\mathrm{A} \) を流したとき、
それぞれのコイルの中心における磁界の大きさを \( H_1, H_2 \,\mathrm{[A/m]} \) とする。
このときの比 \( \frac{H_1}{H_2} \) として最も近い値を、選択肢 (1) 0.45, (2) 0.90, (3) 1.00, (4) 1.11, (5) 2.22 の中から選べ。
重要度:必ず理解
磁界計算の基本公式(ビオ・サバールの法則や直線導体の有限長公式)の応用であり、電磁気学において頻出です。必ず理解しておきたい問題です。
出題意図とポイント
- 正方形コイルの中心磁界と円形コイルの中心磁界を、それぞれ決まった公式・導出に基づき比較する問題です。
- ビオ・サバールの法則、または有限長導線の磁界公式を使って計算することがポイントです。
- 最後に両者の磁界を比率で答えるところに着目してください。
正答番号:2
解法の手順
STEP1. 基本の公式等を確認
- 正方形コイル (1辺 \( a \,\mathrm{m} \))
中心点における磁界は、1辺ごとの寄与を有限長導体の公式
\[
H = \frac{I}{4\pi r}\bigl(\cos \theta_1 + \cos \theta_2\bigr)
\]
で求め、4辺分を足し合わせます。
ただし、各辺までの垂直距離 \( r \) は \( \frac{a}{2} \) となり、端点までの角度が45°ずつになります。
- 円形コイル (直径 \( a \,\mathrm{m} \))
半径 \( R = \frac{a}{2} \) の1巻きコイルに電流 \( I \,\mathrm{A} \) が流れる場合、中心点の磁界は
\[
H_2 = \frac{I}{2R}
\]
で与えられます。
STEP2. 数値を代入して計算
- 正方形コイルの中心磁界 \( H_1 \)
1辺について角度を計算すると、端点は中心から見て \( \pm45^\circ \)。
1辺あたりの寄与は
\[
\frac{I}{4\pi \cdot (a/2)} \bigl(\cos 45^\circ + \cos(-45^\circ)\bigr)
= \frac{I}{4\pi \cdot (a/2)} \times \sqrt{2}
= \frac{I \sqrt{2}}{2\pi a}.
\]
これが4辺あるので、
\[
H_1 = 4 \times \frac{I \sqrt{2}}{2\pi a}
= \frac{2\sqrt{2} \, I}{\pi a}.
\]
- 円形コイルの中心磁界 \( H_2 \)
半径 \( R = \frac{a}{2} \) なので、
\[
H_2 = \frac{I}{2R} = \frac{I}{2 \times \frac{a}{2}} = \frac{I}{a}.
\]
- 比 \( \frac{H_1}{H_2} \)
\[
\frac{H_1}{H_2}
= \frac{\frac{2 \sqrt{2} \, I}{\pi a}}{\frac{I}{a}}
= \frac{2 \sqrt{2}}{\pi}.
\]
数値的には
\[
\frac{2 \times 1.4142}{3.14159} \approx 0.90.
\]
STEP3. 答えを導く
以上より、選択肢の中では (2) 0.90 が最も近い値になります。
まとめ
今回の学習ポイントのまとめ
- 正方形コイルの中心磁界は、各辺を有限長直線導体として考えた磁界の重ね合わせで求められる。
- 円形コイルの中心磁界は、単純に \( \frac{I}{2R} \) で表される。
- 各コイルの形状による中心磁界の強さを比べる問題は、ビオ・サバールの法則や有限長導体の公式を使いこなす練習になる。