直流回路の並列分岐と電流・電圧に関する問題
問題文(要約)
200 V の直流電源から 25 A の電流が流れ出しており,図に示す直流回路が構成されています。
左側は 16 Ω と r Ω の抵抗が直列,右側は 8 Ω と R Ω の抵抗が直列で,これら2つの直列回路が並列に接続されています。
抵抗の接続点 a, b の電位をそれぞれ \( V_a, V_b \) としたとき,\( V_a = V_b \) を満たすような (r, R) の組合せを選びなさい。また,電源の総電流は 25 A となる条件を考慮します。
重要度:必ず理解
直流回路における電位・抵抗の組合せ問題は基本的な考え方ですが,式の立て方に慣れていないと混乱しがちです。本試験の頻出分野ですので,必ず理解できるようにしておきましょう。
出題意図とポイント
- 電流の分配:並列回路なので,各枝(支路)に流れる電流の合計が 25 A になることがポイントです。
- 電位の一致:接続点 \( a \) と \( b \) の電位が同じ(\( V_a = V_b \))になるには,左の直列抵抗(16 Ω + r Ω) と右の直列抵抗(8 Ω + R Ω) で電流・電圧の関係が整合する必要があります。
- 全体抵抗が 8 Ω:電源電圧が 200 V,総電流が 25 A なので,回路全体の合成抵抗は \( 200 V / 25 A = 8 Ω \) となります。
正答番号:4
答えは選択肢 (4) の \( r = 8.0\,\Omega \) と \( R = 4.0\,\Omega \) です。
解法の手順
STEP1. 基本の公式等を確認
- 合成抵抗:並列回路全体の抵抗 \( R_{\text{eq}} \) は
\[
\frac{1}{R_{\text{eq}}}
= \frac{1}{16 + r} + \frac{1}{8 + R}.
\]
また,総電流 25 A から \( R_{\text{eq}} = \frac{200}{25} = 8\,\Omega \) と分かります。
- 接続点 a, b の電位が等しい (\( V_a = V_b \)):
- 左枝では電圧降下が \( (16 + r)\Omega \) で合計 200 V を消費します。途中の接続点電位を \( V_a \) とすると,16 Ω には \( 200 – V_a \) V,r Ω には \( V_a \) V がかかります。
- 右枝では接続点電位を \( V_b \) とすると,8 Ω には \( 200 – V_b \) V,R Ω には \( V_b \) V がかかります。
- \( V_a = V_b \) のとき,電圧分割や電流を同様に考えると,\(\frac{200 – V_a}{16} = \frac{V_a}{r}\) および \(\frac{200 – V_b}{8} = \frac{V_b}{R}\) が同じ電位 \( V_a = V_b \) で成り立ちます。
STEP2. 数値を代入して計算
- \( V_a = V_b \) 条件から r と R の関係を導く
左枝の式を整理すると,
\[
\frac{200 – V_a}{16} = \frac{V_a}{r}
\]
右枝の式を整理すると,
\[
\frac{200 – V_b}{8} = \frac{V_b}{R}
\]
\( V_a = V_b \equiv V_n \) とおくと,両方の形を比較して
\[
\frac{r}{r + 16} = \frac{R}{R + 8}
\quad\Longrightarrow\quad r(R + 8) = R(r + 16)
\]
展開すると \( 8r = 16R \) となり,\( r = 2R \) とわかります。
- 全体抵抗 8 Ω 条件から具体的な数値を求める
並列回路の合成抵抗が 8 Ω になるように,
\[
\frac{1}{8}
= \frac{1}{16 + r} + \frac{1}{8 + R}
\]
ここで \( r = 2R \) を代入して解くと,
\[
r = 8\,\Omega, \quad R = 4\,\Omega
\]
が得られます。
STEP3. 答えを導く
- 最終的に \( (r, R) = (8.0\,\Omega,\ 4.0\,\Omega) \) が求まり,選択肢 (4) が正答となります。
- 実際に並列合成抵抗を確かめると,左枝は \( 16 + 8 = 24\,\Omega \),右枝は \( 8 + 4 = 12\,\Omega \)。並列合成は
\[
\frac{1}{24} + \frac{1}{12} = \frac{1}{24} + \frac{2}{24} = \frac{3}{24} = \frac{1}{8}
\]
よって合成抵抗は 8 Ω となり,200 V / 25 A の条件も満たします。
まとめ
今回の学習ポイントのまとめ
- 電源電圧と総電流から合成抵抗をまず求める:回路全体の抵抗が分かると計算がしやすくなります。
- 並列回路では各枝の電流・電圧分担を式で整理:特に「接続点の電位」に着目すると解きやすいです。
- 問題文で与えられた条件 (電位が等しいなど) を方程式に反映:未知数が複数あっても,一つずつ整合性を取ると解が絞られます。
式の意味をよく理解しながら段階を踏んで取り組みましょう。繰り返し練習して,直列・並列回路の基本を身につけておくと,試験でも確実に得点できます。頑張ってくださいね!