平行導線間の導体棒移動による誘導起電力と電流に関する問題
問題文(要約)
紙面に平行な水平方向に 0.6[m] の間隔で張られた 2 本の直線状平行導線があり、両端は 10[Ω] の抵抗で接続されています。そこに直線状導体棒 PQ を、磁束密度 \( B = 6 \times 10^{-2} \mathrm{T} \)(紙面の裏側から表側に向かって)をかけた状態で、一定速度 \( v = 4\ \mathrm{m/s} \) で垂直方向に移動させると、導体棒の動きによる誘導起電力によって 10[Ω] の抵抗を流れる電流が生じます。問題では、その電流値として正しい値を選択します。選択肢の中から正答を導くものです。
重要度:必ず理解
電磁誘導や運動する導体棒で発生する誘導起電力(いわゆる動生起電力)の基本的な計算問題です。試験対策上、必ず理解しておくべき問題です。
出題意図とポイント
- フレミング右手の法則(または右ねじの方向)を用いた誘導起電力の向きの把握
- 誘導起電力の大きさ \( e = B L v \) の確認
- 回路全体での電流の向き・大きさ(オームの法則により \( I = \frac{e}{R} \) )を正しく計算する
正答番号:4
解法の手順
STEP1. 基本の公式等を確認
- 動生起電力(誘導起電力)の大きさ
導体棒が磁束密度 \( B \) の中を速度 \( v \) で垂直に動くとき、導体棒の両端に発生する誘導起電力は
\[
e = B L v
\]
と表せます。ここで、
- \( B \):磁束密度 [T]
- \( L \):導体棒の有効長さ(平行導線間の距離)[m]
- \( v \):導体棒の速度 [m/s]
- 回路全体の抵抗
本問では導体棒や導線の抵抗は無視でき、抵抗としては 10[Ω] のみを考えます。
- 電流の計算
オームの法則より、回路に流れる電流 \( I \) は
\[
I = \frac{e}{R} = \frac{B L v}{R}
\]
STEP2. 数値を代入して計算
- 磁束密度 \( B = 6 \times 10^{-2} \mathrm{T} = 0.06 \ \mathrm{T} \)
- 平行導線間の距離 \( L = 0.6\ \mathrm{m} \)
- 導体棒の速度 \( v = 4\ \mathrm{m/s} \)
- 抵抗 \( R = 10\ \Omega \)
よって誘導起電力は
\[
e = 0.06 \times 0.6 \times 4 = 0.144\ \mathrm{V}
\]
この起電力が 10[Ω] の抵抗に加わるため、流れる電流 \( I \) は
\[
I = \frac{0.144}{10} = 0.0144\ \mathrm{A}
\]
STEP3. 答えを導く
計算の結果、\( 0.0144\ \mathrm{A} \) となるので、選択肢の (4) が正解となります。
まとめ
今回の学習ポイントのまとめ
- 動生起電力(誘導起電力)の公式 \( e = B L v \) は電磁気学・電気回路分野で頻出の必須知識
- フレミング右手の法則による「磁界・電流・力」の向きの判定方法に慣れておく
- 導体棒が動くときに発生する電圧を回路全体の抵抗で割って電流を求める流れを押さえる
- 計算自体はシンプルなので、確実に抑えて試験本番で得点源にしましょう。