だなお
三相交流回路のY結線における線間電圧と相電圧、電力計算に関する問題
問題文(要約)
Y結線の対称三相交流電源に、Y結線の平衡三相抵抗負荷を接続した場合において、以下の5つの式のうち誤っているものを選ぶ問題です。
- \( V_e = \sqrt{3} V_p \)
- \( I_e = I_p \)
- \( I_e = \frac{V_p}{R} \)
- \( P = \sqrt{3} V_p I_p \)
- 電源と負荷の中性点を中性線で接続しても中性線には電流が流れない
重要度:必ず理解
三相交流回路でのY結線の基本的な電圧・電流関係や三相電力の計算式は、電験3種で頻出の重要事項です。必ず正しい公式の組み合わせを理解しましょう。
出題意図とポイント
- Y結線の線間電圧と相電圧の関係:\( V_e = \sqrt{3} V_p \)
- Y結線の線電流と相電流の関係:\( I_e = I_p \)
- 負荷抵抗がそれぞれRの場合、相電圧がかかるので\( I_p = \frac{V_p}{R} \)
- 三相電力の公式は「総電力 = 3 × (相電圧 × 相電流) = \sqrt{3} × (線間電圧 × 線電流)」
- 平衡負荷の場合は中性点に流れ込む電流が打ち消し合うため中性線電流は0となる
正答番号:4
選択肢(4)の式 \( P = \sqrt{3} V_p I_p \) は三相全体の消費電力としては誤りです。正しくは三相全体の消費電力は
\( P = 3 V_p I_p \)
または
\( P = \sqrt{3} V_e I_e \)
になります。
解法の手順
STEP1. 基本の公式等を確認
- Y結線では、線間電圧と相電圧に \( V_e = \sqrt{3} V_p \) の関係が成り立ちます。
- また、線電流と相電流は同じで \( I_e = I_p \) となります。
- 負荷抵抗Rに相電圧 \( V_p \) がかかるため、相電流 \( I_p = \frac{V_p}{R} \) と求まります。
STEP2. 数値を代入して計算
- 三相電力は「各相の電力×3」で表せるので、各相の電力が \( V_p \times I_p \) のとき、全体では
\( P = 3 \times V_p I_p \)
となります。
- あるいは線間電圧と線電流で表す場合は
\( P = \sqrt{3} \times V_e I_e \)
です。
STEP3. 答えを導く
- (4)の式「 \( P = \sqrt{3} V_p I_p \) 」は、線間電圧でも線電流でもない組み合わせになっており、正しい三相電力の式と合致しないため誤りです。よって解答は(4)となります。
まとめ
今回の学習ポイントのまとめ
- Y結線では線間電圧と相電圧に \( \sqrt{3} \) 倍の関係がある。
- 線電流と相電流は等しく、抵抗Rに対して相電流は \( \frac{V_p}{R} \) で求まる。
- 三相電力は \( 3 V_p I_p \) または \( \sqrt{3} V_e I_e \) で計算する。
- 平衡負荷なら中性線は電流が流れない。