ホール効果の符号と方向に関する問題
問題文(要約)
p型・n型半導体それぞれに電流を流し、外部磁界を加えたときに発生するホール電圧の極性や大きさの式を選択する問題です。選択肢(1)~(5)のうち、p型での帯電の符号、n型での帯電の符号、ホール電圧の向きなどを組み合わせて正しいものを問われています。
重要度:必ず理解
ホール効果は半導体や電気材料の動作原理を理解するうえで重要であり、特に第三種電気主任技術者試験では頻出の知識です。必ず正解したい問題です。
出題意図とポイント
- p型半導体では正孔が主なキャリアとなり、n型半導体では電子が主キャリアになります。
- ホール効果(Hall Effect)では、電流に対し垂直な磁界が加わることで、キャリアがローレンツ力を受けて移動方向が曲げられ、その結果、半導体の端面に電位差(ホール電圧)が生じます。
- p型かn型かで、ホール電圧の極性(+/−)が変化し、その方向も反転します。
- ホール電圧の一般式は、\( V_H = R_H \frac{B I}{d} \) の形をとり、\( R_H \)(ホール係数)はキャリアの種類や密度によって変わります。
正答番号:5
解法の手順
STEP1. 基本の公式等を確認
ホール効果に関する基本的な式は次の通りです。
\[
V_H = R_H \frac{B I}{d}
\]
- \( V_H \):ホール電圧
- \( R_H \):ホール係数(キャリアの種類や密度による定数)
- \( B \):磁束密度(T)
- \( I \):流している電流(A)
- \( d \):半導体の厚み(m)
p型の場合は主に正孔が動くためホール電圧が正側に、n型の場合は主に電子が動くためホール電圧が負側になります。
STEP2. 数値を代入して計算
実際には数値を代入してホール電圧を求める場合がありますが、本問の選択肢は「符号」と「式の形」が中心です。したがって、計算ではなく、
- p型のときの電極①と②の極性が正になるか負になるか
- n型のときの電極①と②の極性が正か負か
- それらの極性方向が同じか反対か
- ホール電圧の式が \( \frac{B I}{d} \) の形か、逆数か
を判断します。
STEP3. 答えを導く
p型では正極性側、n型では負極性側となり、極性の向きは互いに反対であること、ホール電圧の式は \( V_H = R_H \frac{B I}{d} \) という形です。これらの条件をすべて満たすのは選択肢(5)となります。
まとめ
今回の学習ポイントのまとめ
- ホール効果の基本式:\( V_H = R_H \frac{B I}{d} \)
- p型ではホール電圧が正、n型ではホール電圧が負となる。
- p型とn型で電位分布の向きが反対になる。
- 公式そのものは変わりませんが、ホール係数 \( R_H \) の符号や向きがp型・n型で異なります。
ホール効果は半導体デバイスの動作原理やキャリアの種類を判別する上で役立つため、第三種電気主任技術者試験でも要点をしっかり押さえておくと良いでしょう。