だなお
電力計に関する問題
問題文(要約)
本問題は、図1に示される可動コイル電力計(電流力計形)の原理と、図3・図4を用いた三相電力測定(2電力計法)に関する内容です。
(a) では、固定コイルF1,F2に流れる電流による磁界と、可動コイルMに流れる電流との相互作用によって指針が振れる原理についての理解を問われています。
(b) では、単相電力計W1とW2を二つ用いて、三相負荷の力率や合成の電力を測定するときの位相差やベクトル図を考慮した問題となっています。
重要度:必ず理解
電力計の内部構造や測定原理は、三種電気主任技術者試験でも頻出です。ここをしっかり理解しておくことで、電力測定の応用問題にも強くなります。
出題意図とポイント
- 単相電力計の原理:固定コイルに流れる電流と可動コイルに流れる電流の相互作用によって、指針が振れる「電流力計形(可動コイル形)」の仕組みを確認する。
- 交直両用の測定:電流力計形電力計は、内部で磁界が電流によって発生し、可動部が力を受ける構造なので、直流および交流の双方が測定可能であることを理解する。
- 二電力計法:三相負荷の総電力を 2台の単相電力計 W1 と W2 で測定する際のベクトル図や位相差の考え方をマスターする。力率や相電圧・線間電圧の関係に着目し、W1 と W2 それぞれの指示値を合計すると三相合成電力が求まる。
正答番号:a:5, b:1
解法の手順
STEP1. 基本の公式等を確認
- 電流力計形電力計(可動コイル電力計)の指針偏角は、固定コイル電流 \( I_F \) と可動コイル電流 \( I_M \) の両方に比例します。
\[
\theta \propto I_F \times I_M
\]
- 二電力計法で三相電力を測定する場合、線間電圧を \( V_{bc}, V_{ca}, V_{ab} \) とし、それぞれの電力計電流を \( I_b, I_c, I_a \) とします。単相電力計の指示値 \( P_1, P_2 \) を合計すると三相電力となります。
\[
P = P_1 + P_2 = \sqrt{3} V I \cos \phi
\]
(ただし負荷は対称負荷を仮定)
STEP2. 数値を代入して計算
- (a) の組み合わせ問題では、「電流力計形」かつ「交直流両用」が成立する組み合わせが (5) であることを確認します(問題文にある表より)。
- (b) では、図3・図4 のベクトル図から、各相電圧の位相差を読み取ります。
選択肢(1) は位相差が「\( \frac{\pi}{6} – \phi \)」と「\( \frac{\pi}{6} + \phi \)」であり、ベクトル長が「\( 2 \cos \frac{\pi}{6} \)」となる組み合わせです。ここが問題文の図4と一致するため、(1) が正しい選択肢となります。
STEP3. 答えを導く
- よって、(a) の答えは (5)、(b) の答えは (1) となります。
まとめ
今回の学習ポイントのまとめ
- 電流力計形電力計の原理:固定コイルと可動コイルの相互作用を理解する。
- 交直両用の特性:電流力計形(エレクトロダイナモメータ形)電力計は、交流だけでなく直流の測定も可能。
- 二電力計法:三相交流の総電力を 2 台の単相電力計の指示値から合計して求める。ベクトル図と力率を用いた位相差の見方がカギになる。