理論過去問
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第三種電気主任技術者_平成21年度理論_問14

だなお

FET増幅器(ソース接地)の静特性と動作点の求め方

問題文(要約)

ソース接地のFET増幅器の回路(電源電圧 \( E_2 = 12 \) [V]、負荷抵抗 \( R = 1.2 \) [k\(\Omega\)])において、ゲート–ソース間電圧 \( V_{GS} = -0.1 \) [V] のとき、ドレイン–ソース間電圧 \( V_{DS} \) とドレイン電流 \( I_D \) が最も近い組合せを選ぶ問題です。選択肢は以下の通りです。

  1. \( V_{DS} = 0.8 \) V, \( I_D = 5.0 \) mA
  2. \( V_{DS} = 3.0 \) V, \( I_D = 5.8 \) mA
  3. \( V_{DS} = 4.2 \) V, \( I_D = 6.5 \) mA
  4. \( V_{DS} = 4.8 \) V, \( I_D = 6.0 \) mA
  5. \( V_{DS} = 12 \) V, \( I_D = 8.4 \) mA

重要度:必ず理解

FETの直流動作点(バイアス点)の求め方は、トランジスタ増幅回路全般の基礎となる重要事項です。FETの特性曲線の読み取りや抵抗による電圧降下の考え方は、他の半導体素子問題にも共通します。

出題意図とポイント

本問題では、ソース接地型FET回路における静特性(ドレイン電流とドレイン–ソース電圧の関係)を理解しているかを問われます。具体的には、FETの \( I_D \) が決まればドレイン負荷 \( R \) による電圧降下 \( I_D \times R \) が定まり、そこから \( V_{DS} \) が決まる仕組みを理解することがポイントです。

正答番号:4


解法の手順

STEP1. 基本の公式等を確認

ソース接地型FET増幅器では、ドレイン電流 \( I_D \) が流れるとき、

  • 負荷抵抗 \( R \) に加わる電圧降下は \( I_D \times R \) となります。
  • 電源電圧を \( E_2 \) とすると、ドレイン側の電圧 \( V_D \) は \( E_2 – I_D \times R \) です。
  • ドレイン–ソース間電圧 \( V_{DS} \) は、「ドレイン電圧 \( V_D \) とソース電位(ここではソースが接地基準とみなせる場合 \( 0 \) V近傍)」の差なので、\( V_{DS} \approx V_D \) と考えられます。

STEP2. 数値を代入して計算

選択肢から \( I_D \) がそれぞれ候補として与えられています。そこで、

  1. \( I_D = 5.0 \) mA
  • \( I_D \times R = 5.0 \times 1.2 = 6.0 \) V
  • \( V_D = 12 – 6.0 = 6.0 \) V ⇒ \( V_{DS} \approx 6.0 \) V (選択肢1は \( V_{DS} = 0.8 \) V と書いてあるため一致しない)
  1. \( I_D = 5.8 \) mA
  • \( I_D \times R = 5.8 \times 1.2 = 6.96 \) V
  • \( V_D = 12 – 6.96 = 5.04 \) V ⇒ \( V_{DS} \approx 5.0 \) V (選択肢2は \( V_{DS} = 3.0 \) V と書いてあるため一致しない)
  1. \( I_D = 6.5 \) mA
  • \( I_D \times R = 6.5 \times 1.2 = 7.8 \) V
  • \( V_D = 12 – 7.8 = 4.2 \) V ⇒ \( V_{DS} \approx 4.2 \) V (選択肢3は一致するが \( I_D \) が6.5 mAとなっている)
  1. \( I_D = 6.0 \) mA
  • \( I_D \times R = 6.0 \times 1.2 = 7.2 \) V
  • \( V_D = 12 – 7.2 = 4.8 \) V ⇒ \( V_{DS} \approx 4.8 \) V (選択肢4と一致)
  1. \( I_D = 8.4 \) mA
  • \( I_D \times R = 8.4 \times 1.2 = 10.08 \) V
  • \( V_D = 12 – 10.08 = 1.92 \) V ⇒ \( V_{DS} \approx 1.9 \) V (選択肢5は \( V_{DS} = 12 \) V と書いてあり、明らかに整合しない)

最も整合性が高いのは「(4) \( V_{DS} = 4.8 \) V, \( I_D = 6.0 \) mA」です。

STEP3. 答えを導く

したがって、問題文で示された\( V_{GS} = -0.1 \) V時の動作点としては、\( I_D \approx 6 \) mA、\( V_{DS} \approx 4.8 \) V が適切です。よって正答番号は「4」となります。


まとめ

今回の学習ポイントのまとめ

  • FETの直流動作点(バイアス点)を求めるには、まず特性曲線から \( I_D \) を読み取り、その電流が負荷抵抗上で生む電圧降下を差し引いて \( V_{DS} \) を求めます。
  • ソース接地増幅回路では、ドレイン電流 \( I_D \) が確定するとドレイン電圧 \( V_D \) と \( V_{DS} \) が決定されます。
  • 本問題では、選択肢の中で実際に整合する値を確認して答えを選びます。最終的に「(4) \( V_{DS} = 4.8 \) V, \( I_D = 6.0 \) mA」が正解となりました。

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