だなお
抵抗測定方法とケルビン・ダブルブリッジに関する問題
問題文(要約)
本問題は、抵抗測定の方法について (a) では「偏位法」と「零位法」の違いや、具体的な測定器の例を問う内容です。指針の振れを直接読み取って測定量を求める「偏位法」に対し、既知量との比較で差がゼロになるようにする「零位法」があることを確認します。さらに (b) では、図示されているケルビン・ダブルブリッジ回路を用いて低抵抗を精密に測定する際の平衡条件と、未知抵抗 \( R_x \) の求め方を問う問題となっています。
重要度:必ず理解
- 「偏位法」「零位法」の区別は、電気計測全般で頻出の基本事項です。
- ケルビン・ダブルブリッジによる低抵抗測定の仕組みも、抵抗測定において重要な知識です。
- 初学者がやや苦手にしやすい「ブリッジ平衡条件の導出」を丁寧に押さえておくと得点源になります。
出題意図とポイント
- (a) は測定法の分類とその例示がきちんと理解できているかを問う典型的な問題です。
- (b) はケルビン・ダブルブリッジの回路原理を理解し、平衡条件から未知抵抗を算出する力を確認しています。
- ケルビン・ダブルブリッジではリード線などの抵抗を補償しつつ、厳密な平衡条件を得る点がポイントです。
正答番号:a:1,b:1
- (a) の空欄 (7), (4), (9) に当てはまる語句として正しい組み合わせは「(7) 偏位法、(4) 零位法、(9) 直流電位差計」。
- (b) の空欄 (7), (4), (γ) に当てはまる式として正しい組み合わせは「\( \frac{P}{Q}, \frac{p}{q}, \frac{r}{p+q+r} \)」。
解法の手順
STEP1. 基本の公式等を確認
(a) 偏位法と零位法
- 偏位法
指針計器に代表される方式で、測定量に応じて指針が振れる量を読み取り、そのまま測定量に換算する方法。
- 零位法(平衡法)
既知量を利用した回路と比較し、差がゼロとなるようにして測定量を求める方法。ブリッジ回路や直流電位差計は、電位差がゼロになる点を探して測定する典型的な例です。
(b) ケルビン・ダブルブリッジの原理
- リード線抵抗 \( r \) を補償しつつ、未知抵抗 \( R_x \) を測定する仕組み。
- 平衡条件として、2つのブリッジバランスが同時に満たされる点が大きな特徴です。
STEP2. 数値を代入して計算
(a) 測定法の語句選択
- 問題文から、「指針の振れ → 測定値」=偏位法、差がゼロになる平衡測定=零位法、そしてブリッジと同様の零位法を用いた代表的機器=直流電位差計、と読み取れます。
- よって (7) 偏位法、(4) 零位法、(9) 直流電位差計 が正解となります。
(b) ケルビン・ダブルブリッジの平衡条件
- ブリッジで電流の分配を考慮すると、平衡条件として
\[
\frac{P}{Q} \;=\; \frac{p}{q}
\]
が得られます。
- リード線抵抗 \( r \) による分流も考慮すると、回路電流 \( I \) の一部 \( i_2 \) が \( p \) と \( q \) 側、残りが \( r \) 側を流れるため、
\[
\frac{i_2}{I} \;=\; \frac{r}{\,p + q + r\,}
\]
の関係が導けます。
- 以上を用いて式を整理すると、未知抵抗 \( R_x \) は
\[
R_x \;=\; \frac{p}{q}\,R_s \;+\; \frac{p}{\,p + q\,}\,r
\]
の形などで表されます(問題文中では多少記号の置き方が異なりますが、同等の式が得られます)。
STEP3. 答えを導く
- (a) の測定法は「(7) 偏位法」「(4) 零位法」「(9) 直流電位差計」が正解。
- (b) のブリッジ平衡条件式は「(7) \(\frac{P}{Q}\)」「(4) \(\frac{p}{q}\)」「(γ) \(\frac{r}{p+q+r}\)」が正解。
まとめ
今回の学習ポイントのまとめ
- 偏位法 と 零位法 の違いをしっかり把握することが大切です。試験では「指針の振れを読む=偏位法」「目視ではなく差を0にする=零位法」と整理しましょう。
- ケルビン・ダブルブリッジ は、低抵抗を正確に測定する代表的回路です。リード線抵抗を含めたブリッジの平衡条件を正しく立式し、未知抵抗を算出する流れを理解しておきましょう。
- 本問題は「ブリッジ回路」「電気計測」の典型問題であり、特に零位法を使うブリッジは何度も出題されやすいテーマです。しっかり身につけて得点源にしましょう。