理論過去問
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第三種電気主任技術者_平成22年度理論_問01

だなお

電位が0になる点を求める問題

問題文(要約)

真空中で、点Aに +4Q[C]、点Bに -Q[C] の点電荷が配置されている。AとBの距離は \( l \) (m) であり、この2点を結ぶ直線上で電位が \( 0 \) (V) となる点Pを求める問題。無限遠点は除外し、点Aより左の領域を a領域、A-B間を ab領域、Bより右を b領域とする。選択肢として、Pが存在する位置の組み合わせが複数提示されている。

重要度:必ず理解

電位計算の基礎と、クーロンの法則による位置関係の把握は非常に重要です。ここをしっかり押さえておくと、他の電界やコンデンサ問題にも応用できます。

出題意図とポイント

  • 対象物理量:電荷 +4Q と -Q の組み合わせによる電位分布
  • ポイント:電位がゼロとなる点をクーロンの法則から導出する際、領域ごとに式の形が変化することを理解する
  • 注目:電位0点が複数存在し得る場合があるため、「A-B間 (ab領域) に1点」「Bの右側 (b領域) に1点」が典型パターンである

正答番号:2


解法の手順

STEP1. 基本の公式等を確認

2点電荷による電位 \( V \) は、それぞれの電荷がつくる電位の和で表せます。点Aを座標 \( x=0 \) 、点Bを \( x=l \) としたとき、任意点 \( x \) における電位は

\[
V = \frac{1}{4\pi \varepsilon_0} \left( \frac{+4Q}{x} + \frac{-Q}{l – x} \right)
\]

ただし、点B側の電荷は負なので「-Q」になります。電位が0になる点を求めるには、上式を\( V=0 \) とおけばよいです。

STEP2. 数値を代入して計算

(1) A-B間 \( (0 < x < l) \) における方程式:

\[
\frac{1}{4\pi \varepsilon_0}
\left( \frac{4Q}{x} – \frac{Q}{l – x} \right) = 0
\]

係数 \(\frac{Q}{4\pi \varepsilon_0}\) は共通なので省略して、

\[
\frac{4}{x} – \frac{1}{l – x} = 0
\quad \Longrightarrow \quad
\frac{4}{x} = \frac{1}{l – x}
\]
\[
4(l – x) = x
\quad \Longrightarrow \quad
4l = 5x
\quad \Longrightarrow \quad
x = \frac{4l}{5}
\]

よって、A-B間 ( \( 0 < x < l \) ) では \( x=\frac{4l}{5} \) が存在します。

(2) Bより右側 \( (x>l) \) の場合:

\[
\frac{1}{4\pi \varepsilon_0}
\left( \frac{4Q}{x} – \frac{Q}{x – l} \right) = 0
\quad (\text{ただし } x>l)
\]
同様に整理すると、

\[
\frac{4}{x} = \frac{1}{x – l}
\quad \Longrightarrow \quad
4(x – l) = x
\quad \Longrightarrow \quad
4x – 4l = x
\quad \Longrightarrow \quad
3x = 4l
\quad \Longrightarrow \quad
x = \frac{4l}{3}
\]

これは \( x=\frac{4l}{3} \) で、明らかに \( x>l \) を満たすため、Bより右側にも1点解が存在します。Bから見れば右に \( \frac{4l}{3} – l = \frac{1}{3}l \) だけ離れた位置です。

(3) Aより左側 \( (x<0) \) には解がないことも同様に式を立てれば確認できます。

STEP3. 答えを導く

  • ab領域 (A-B間) には \( x = \frac{4l}{5} \) (Aから右に\( \frac{4l}{5} \)) の1点
  • b領域 (Bより右) には \( x = \frac{4l}{3} \) が1点 (Bから右に \( \frac{1}{3}l \))
  • a領域には解が存在しない

提示されている選択肢のうち、この組合せを示しているのが「(2) a領域なし、ab領域にAより右 \( \frac{4l}{5} \)、b領域にBより右 \( \frac{1}{3}l \)」となるため、正答は(2)です。


まとめ

今回の学習ポイントのまとめ

  • \( V=0 \) を求める典型問題として、同一直線上に正負の点電荷がある場合は「間 (ab領域) に1点、外側 (b領域) に1点」生じる可能性が高い
  • 導出時は座標設定を明確にし、距離の取り方を間違えないように注意する
  • 求まる解が物理的にその領域に含まれるかチェックすることが大切

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