平行板コンデンサの誘電率による内部電界と蓄電荷に関する問題
問題文(要約)
同じ平板面積・同じ極板間隔の2種類の平行板コンデンサがある。
- Aは空気(比誘電率を1とする)が充填されたコンデンサ
- Bは比誘電率\( \varepsilon_r = 4 \)の固体誘電体が充填されたコンデンサ
両コンデンサそれぞれに直流電圧\( V \)を加え、もう一方の極板を接地したとき、コンデンサBの
- 内部電界(\( E \))
- 電極板に蓄えられた電荷(\( Q \))
は、コンデンサAの何倍になるか。選択肢の中から答えを選ぶ問題。
重要度:必ず理解
電気主任技術者試験では、静電容量や比誘電率が異なるコンデンサに同じ電圧を印加した場合の「内部電界」「蓄電荷」の違いをしっかり理解しているかを問う典型的な問題です。必ずマスターしておきましょう。
出題意図とポイント
- 出題意図
- コンデンサの基本公式(\( C = \frac{\varepsilon S}{d} \))と、そこから導かれる内部電界(\( E = \frac{V}{d} \))・蓄電荷(\( Q = CV \))の関係を正しく適用できるかを確認する。
- 誘電率(比誘電率)が異なると「容量\( C \)の大きさがどう変わるか」「内部電界がどうなるか」を理解しているかが問われる。
- ポイント
- 静電容量の違い
- 内部電界はプレート間の電位差と極板間隔のみで決まる
- \( E = \frac{V}{d} \)は誘電率に依存しない。
- 蓄えられる電荷は容量×電圧
- 容量が4倍になれば、同じ電圧印加で電荷は4倍になる。
正答番号:1
内部電界の比は「1倍」、電荷の比は「4倍」
よって、選択肢の(1)が正解です。
解法の手順
STEP1. 基本の公式等を確認
- 平行板コンデンサの容量
\( C = \frac{\varepsilon S}{d} \)
- ここで
- \( \varepsilon \) は誘電率(\( \varepsilon_0 \varepsilon_r \))
- \( S \) は極板の面積
- \( d \) は極板間隔
- 内部電界
平行板内の電界はプレート間の電位差を距離で割ったものとして
\( E = \frac{V}{d} \)
- 誘電率は電界の大きさの直接的な決定要因ではなく、コンデンサ内部の「電束密度(D)」や「極化」に影響するが、コンデンサの電位差\( V \)と距離\( d \)が同じなら\( E \)は一定。
- 電荷
蓄えられる電荷\( Q \)は
\( Q = CV \)
で与えられる。
STEP2. 数値を代入して計算
- コンデンサA(空気)
- \( C_A = \frac{\varepsilon_0 \cdot S}{d} \)
- 内部電界\( E_A = \frac{V}{d} \)
- 蓄電荷\( Q_A = C_A V = \frac{\varepsilon_0 S}{d} V \)
- コンデンサB(比誘電率4の誘電体)
- \( C_B = \frac{4 \varepsilon_0 \cdot S}{d} \)
- 内部電界\( E_B = \frac{V}{d} \)
- 蓄電荷\( Q_B = C_B V = \frac{4 \varepsilon_0 S}{d} V \)
比を取ると以下が得られる:
- \( \frac{E_B}{E_A} = \frac{\frac{V}{d}}{\frac{V}{d}} = 1 \)
- \( \frac{Q_B}{Q_A} = \frac{\frac{4 \varepsilon_0 S}{d}V}{\frac{\varepsilon_0 S}{d}V} = 4 \)
STEP3. 答えを導く
以上の計算より、比誘電率4の誘電体を用いたコンデンサBでは
- 内部電界の比 … 1 (同じ電圧・同じ極板間隔なら同じ電界)
- 電荷の比 … 4 (容量が4倍大きいので同じ電圧なら電荷は4倍)
となります。よって選択肢(1)が正解です。
まとめ
今回の学習ポイントのまとめ
- 同じ形状・同じ電圧印加の場合、内部電界はプレート間隔と電圧で決まるため、誘電率の違いは影響しない。
- 蓄電荷は容量×電圧なので、比誘電率が4倍なら容量も4倍、同じ電圧印加で電荷は4倍に増える。
- この考え方はコンデンサの基本問題で頻出。確実にマスターしておきましょう。