2025.02.10 2025.02.25

第三種電気主任技術者_平成22年度理論_問16

だなお

Contents

誘導形電力計の原理と誤差計算に関する問題
解法の手順
まとめ
1. 今回の学習ポイントのまとめ

誘導形電力計の原理と誤差計算に関する問題

問題文(要約)

交流の電力量計（誘導形電力計）の原理を問う問題です。
(a) では「誘導形電力計」の構造・原理について、文章中の空欄に当てはまる用語や接続法、制動トルクに関する正しい組合せを選ぶ形式です。
(b) では、抵抗負荷（3 kW）を1分間接続したときの回転円板の回転数（61回転）から、電力量計の計量誤差がどの程度かを選ぶ問題です。なお、計器定数は1200 [rev/kWh] と与えられています。

重要度：必ず理解

本問は「誘導形電力計（ワットアワーメータ）」の基本構造と、簡単な誤差（誤差率）の計算問題です。電力計の計量原理や計器定数（回転ディスクの回転数と消費電力量の関係）は、第３種電気主任技術者試験で頻出のテーマです。必ず押さえておきましょう。

出題意図とポイント

誘導形電力計の構造
電流コイル（シリーズコイル）と電圧コイル（並列コイル）の相互作用で回転円板を駆動する「駆動トルク」を発生し、永久磁石による「制動トルク」と釣り合うことで、負荷電力に比例した回転速度となる仕組みです。
計器定数（rev/kWh）の扱い
「回転円板の回転数」から「消費電力量（kWh）」を求めたり、逆に実測した回転数と理想値の比較で誤差を求める問題です。
例えば「1200 rev/kWh」の意味は、1 kWh の消費につき回転円板が1200回転することを表します。
誤差計算の仕組み
実際に計測した回転数と理想的な回転数との差から、誤差率を計算します。
\[
\text{誤差率 (％)} = \frac{\text{実測値} – \text{理想値}}{\text{理想値}} \times 100
\]

正答番号：

(a)：3
(b)：4

解法の手順

STEP1. 基本の公式等を確認

誘導形電力計のトルク構成

負荷電力に比例する「駆動トルク」
回転円板の速度に比例する「制動トルク」
これらがつり合うことで回転数が負荷電力に比例します。

計器定数 (Meter Constant)

\( 1200 \ \text{rev/kWh} \) という意味は、1 kWh の電力量を消費する間に回転円板が 1200 回転するということです。
したがって、\( x \) 回転したときの消費電力量 \( W \) [kWh] は
\[
W = \frac{x}{1200} \quad (\text{kWh})
\]

誤差率
\[
\delta = \frac{\text{実測値} – \text{理想値}}{\text{理想値}} \times 100 \ (\%)
\]

STEP2. 数値を代入して計算

(b) の計算例

理想的な回転数
負荷は 3 kW、1分間（= 1/60 時間）運転したとき、理想的な消費電力量は
\[
3\ [\text{kW}] \times \frac{1}{60}\ [\text{h}]
= 0.05\ \text{kWh}
\]
計器定数が 1200 [rev/kWh] なので、理想回転数は
\[
1200 \times 0.05 = 60\ \text{回転}
\]
実測値：61 回転
誤差率の計算
\[
\delta = \frac{61 – 60}{60} \times 100
= \frac{1}{60} \times 100
\approx 1.666\% \approx 1.7\%
\]