理論過去問
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第三種電気主任技術者_平成22年度理論_問06

だなお

直流回路の抵抗値と電流計算

問題文(要約)

図1では、\( a \)–\( c \)間に直流100Vを加えたとき、\( b \)–\( c \)間電圧が20Vとなる。
図2では、新たに150Ωを \( b \)–\( c \)間に並列追加したところ、\( b \)–\( c \)間電圧が15Vとなる。
図3では、\( b \)–\( c \)間を短絡したときの回路電流 \( I \)(単位A)を問う問題。
選択肢:(1) 0, (2) 0.10, (3) 0.32, (4) 0.40, (5) 0.67

重要度:必ず理解

本問は抵抗の直列・並列計算と、回路の短絡時の電流を求める定番問題です。直列・並列回路の基本法則を確実に理解・応用できることが目標になります。

出題意図とポイント

  • 直列回路と並列回路の電圧分配を理解しているか
  • 回路変更(追加抵抗や短絡)による抵抗値の変化と電流の変化を計算できるか
  • オームの法則 \( I = \frac{V}{R} \) の応用力を試す問題

正答番号:4


解法の手順

STEP1. 基本の公式等を確認

  1. オームの法則:\( I = \frac{V}{R} \)
  2. 並列合成抵抗:\( R_{p} = \frac{R_{1} \times R_{2}}{R_{1} + R_{2}} \)
  3. 直列の場合は同じ電流が流れ、電圧比は抵抗比に比例する。

STEP2. 数値を代入して計算

(1) 図1の状態

  • 電源電圧:\( V_{ac} = 100 \) V
  • \( b \)–\( c \)間電圧:\( V_{bc} = 20 \) V ⇒ よって \( a \)–\( b \)間電圧は \( 100 – 20 = 80 \) V。
  • 抵抗値を \( R_{1} \)(\( a \)–\( b \)間)と \( R_{2} \)(\( b \)–\( c \)間)とすると、同じ電流 \( I \) が流れるので

\[
\frac{80}{R_{1}} = \frac{20}{R_{2}}.
\]

よって

\[
\frac{R_{1}}{R_{2}} = \frac{80}{20} = 4.
\]

従って
\[
R_{1} = 4 R_{2}.
\]

(2) 図2の状態

  • 新たに150Ωを \( b \)–\( c \)間に並列に追加したため、\( b \)–\( c \)間の合成抵抗は
    \[
    R_{2 \parallel 150} = \frac{R_{2} \times 150}{R_{2} + 150}.
    \]
  • \( b \)–\( c \)間電圧が15V ⇒ \( a \)–\( b \)間電圧は \( 100 – 15 = 85 \) V。
  • 同じ電流が \( R_{1} \) を通り、並列合成抵抗を通るので
    \[
    \frac{85}{R_{1}} = \frac{15}{R_{2 \parallel 150}}.
    \]
  • 前述の \( R_{1} = 4R_{2} \) を用いて、\( R_{2} \) を求める。計算すると

\[
\frac{85}{4 R_{2}} = \frac{15}{\frac{R_{2}\cdot150}{R_{2}+150}}.
\]

この方程式を解くと

\[
R_{2} = 62.5\,\Omega, \quad R_{1} = 4 \times 62.5 = 250\,\Omega.
\]

(3) 図3の状態:\( b \)–\( c \)間短絡時

  • \( b \)–\( c \)間が短絡(0Ω)扱いとなるため、\( R_{2} \) は事実上電流が流れない(両端が同電位)。
  • 回路は \( a \)–\( b=c \) に \( R_{1} \) だけが直列接続された形。
  • 電源100Vに対して \( R_{1} \) のみが負荷となるので

\[
I = \frac{100}{R_{1}} = \frac{100}{250} = 0.4\,\text{A}.
\]


STEP3. 答えを導く

以上の計算から、短絡時の電流 \( I \) は \( 0.4 \,\text{A} \) が正解です。


まとめ

今回の学習ポイントのまとめ

  • 直列回路では各抵抗に流れる電流は共通であること、電圧比は抵抗比に比例することが重要です。
  • 並列回路の合成抵抗をきちんと公式に当てはめることで、電圧・電流を正しく求められます。
  • 回路変更(抵抗の追加や短絡)の問題は「どの抵抗が実質的に通電するか」を冷静に見極めることがポイントです。

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