半導体の性質に関する問題【p型半導体・n型半導体のドーピング】
問題文(要約)
シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)などの半導体に関する記述が5つ提示され、それらのうち「誤っているもの」を選ぶ問題です。具体的には、真性半導体と不純物半導体(p型・n型)におけるキャリア(電子・正孔)の関係や、温度と電気伝導度の関係などが問われています。
重要度:必ず理解
この問題は半導体の基礎中の基礎であり、「p型半導体は何族を添加するか」「n型半導体の多数キャリアと少数キャリアは何か」などが分かっていれば正解できます。電気主任技術者試験でも出題頻度が高い重要分野です。
出題意図とポイント
- 真性半導体(例:純粋なSi)では、電子(\( e^- \))と正孔(\( h^+ \))の生成が等しく、キャリア数は同じになります。
- p型半導体とは、III族元素(ホウ素Bなど)を微量添加することによって、正孔が多数キャリアとなる半導体です。
- n型半導体とは、V族元素(リンPなど)を微量添加することで、電子が多数キャリアとなる半導体です。
- 温度が下がると、半導体のキャリア生成数が減少し、電気伝導度が小さくなる傾向があります。
問題文の(3)にあるように、「真性半導体にV族元素を加えたものをp型半導体という」という誤った表現が含まれており、これが誤答箇所となります。
正答番号:3
解法の手順
STEP1. 基本の公式等を確認
半導体の基本概念として押さえるポイント:
- 真性半導体:キャリアは電子と正孔のみで、両者の生成数は同じ。
- p型半導体:III族(価電子が3個の元素)を添加して、正孔を多数キャリアとする。
- n型半導体:V族(価電子が5個の元素)を添加して、電子を多数キャリアとする。
- 少数キャリア:p型半導体では電子、n型半導体では正孔が該当する。
- 温度と電気伝導度:半導体は温度が上昇するとキャリアが増えて電気伝導度が上がり、温度が下がるとキャリアが減るため電気伝導度が小さくなる。
STEP2. 数値を代入して計算
今回の問題は定性的な問題(計算式というよりも理論問題)ですが、イメージとしては以下を理解します。
- (1) 真性半導体:\(\ n_e = n_h \) (電子数 = 正孔数)
- (2) 不純物半導体:\(\ \sigma \) (導電率)は真性に比べて大きい
- (3) p型 or n型の定義:V族添加でn型、III族添加でp型
- (4) n型の少数キャリア:正孔
- (5) \(\ \sigma \) は温度低下 \(\rightarrow\) \(\ \sigma \) 小さく
(3) の記述だけが p型とn型を逆に書いているので「誤り」と断定できます。
STEP3. 答えを導く
上記のポイントから(3)が誤りとなり、答えは3番となります。
まとめ
今回の学習ポイントのまとめ
- 真性半導体と不純物半導体の違いをしっかり把握する。
- p型はIII族元素を添加して正孔が多数キャリア、n型はV族元素を添加して電子が多数キャリアとなる。
- 半導体では温度上昇でキャリアが増加するため電気伝導度は上がり、温度が下がると電気伝導度が下がる。
これらは電気主任技術者試験でも繰り返し問われる重要事項です。今後もp型・n型の特徴をしっかり押さえておきましょう。