第7問:単相3線式回路での総消費電力の求め方
問題文(要約)
抵抗 \( R = 4\,\Omega \) と誘導性リアクタンス \( X = 3\,\Omega \) を直列に接続した負荷が 2 つあり、それぞれ線間電圧 \( V_{ab} = 100\angle 0^\circ\,[V] \) と \( V_{bc} = 100\angle 0^\circ\,[V] \) の単相3線式電源に接続されている。結果として、(a)~(b)、(b)~(c) が直列となり、(a) と (c) 間には 2 つの直列負荷が連続して接続された状況になる。これら負荷の総消費電力 \( P \,[W] \) はいくらか。
(選択肢)
1) 800
2) 1200
3) 3200
4) 3600
5) 4800
重要度:必ず理解
単相3線式回路で電圧が加わった直列負荷の総消費電力を求める典型的な問題です。回路図の見方と電圧の位相関係(同相で 100 V + 100 V = 実質 200 V となる点)を正しく理解できるかがポイントです。
出題意図とポイント
- 単相3線式の線電圧が同相で 100 V ずつ加わるとき、\( a \) と \( c \) の間には実質 200 V がかかっている。
- そこに直列で 2 個の \( (R + jX) \) が入っているとみなせる。
- インピーダンスの合計と加わる電圧の大きさから、電流を求め、それを用いて総消費電力(有効電力)を計算する。
正答番号:3
解法の手順
STEP1. 基本の公式等を確認
まず、直列回路のインピーダンスと有効電力の関係式を確認しましょう。
- それぞれの負荷のインピーダンス
\[
Z = R + jX = 4 + j3 \quad [\Omega]
\]
したがって、大きさは
\[
|Z| = \sqrt{4^2 + 3^2} = 5 \quad [\Omega]
\]
- 直列に 2 個あるため、合計インピーダンスは
\[
Z_{\text{total}} = (4 + j3) + (4 + j3)
= (4+4) + j(3+3)
= 8 + j6 \quad [\Omega]
\]
その大きさは
\[
|Z_{\text{total}}| = \sqrt{8^2 + 6^2}
= \sqrt{64 + 36}
= \sqrt{100}
= 10 \quad [\Omega]
\]
- 電源電圧については、\( V_{ab} \) と \( V_{bc} \) が共に \( 100\angle 0^\circ \,[V] \) です。
これは位相が同じ電圧が 2 つ直列につながっているイメージなので、結果的に \( a \) と \( c \) 間には
\[
V_{ac} = 100 + 100 = 200 \,[V]
\]
(位相差が 0° のため純加算)
がかかっていると考えられます。
STEP2. 数値を代入して計算
- 合成電圧 \( V_{ac} \) は 200 V
- 合計インピーダンスの大きさは 10 Ω
- 電流はオームの法則 \( I = \dfrac{V_{ac}}{|Z_{\text{total}}|} \) より
\[
I = \frac{200}{10} = 20 \,[A]
\]
- 総抵抗成分は \( R_{\text{total}} = 8\,\Omega \) なので、有効電力 \( P \) は
\[
P = I^2 \times R_{\text{total}} = (20)^2 \times 8 = 400 \times 8 = 3200\,[W]
\]
STEP3. 答えを導く
以上から、求める総消費電力は 3200 W となります。
選択肢 (3) が正答です。
まとめ
今回の学習ポイントのまとめ
- 単相3線式回路で電圧が同相の場合は、合成電圧は単純な足し算(200 V)となる。
- 直列接続された負荷の合計インピーダンスと合計抵抗分をもとに、有効電力を \( P = I^2 R_{\text{total}} \) で計算する。
- 回路図を正しく読み取り、「線間電圧が同相に加わるときには電圧が加算される」点に注意することで解法にたどり着ける。
苦手に感じやすいポイントですが、ステップを分解して考えると取り組みやすくなります。今回のように複数の負荷が「どのように直列・並列関係になっているか」を正しく押さえるのが合格のカギです。苦手意識を減らし、着実に得点源にしていきましょう。