理論過去問
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第三種電気主任技術者_平成22年度理論_問10

だなお

RC直流回路での初期電流と定常電流の比率を求める問題

問題文(要約)

スイッチ \( S \) を閉じた瞬間 (\( t=0 \)) に点 \( A \) を流れる電流を \( I_0 \) とし、十分に時間が経過して定常状態に達したのちに点 \( A \) を流れる電流を \( I \) とする。このとき電流比 \( I_0 / I \) を 2 とするために必要な抵抗 \( R_3 \) の値を求める問題。

重要度:必ず理解

出題意図とポイント

  • コンデンサが未充電の瞬間 (\( t=0 \)) の回路を「コンデンサが短絡状態」とみなす考え方を確認する問題です。
  • 十分時間が経過した後 (定常状態) にコンデンサに電流が流れなくなる (開放状態) ことを踏まえ、定常時の回路構成を把握する必要があります。
  • コンデンサの充放電と抵抗の並列・直列関係を正しく見極めるのがポイントです。

正答番号:5


解法の手順

ここでは、初期状態と定常状態それぞれの回路を明確に分けて解析します。

STEP1. 基本の公式等を確認

  1. 初期状態 (\( t=0 \))
  • コンデンサは未充電なので、コンデンサ部分がほぼ短絡状態となる。
  • 回路上では、点 \( A \) に入っていく電流 \( I_0 \) は、\( R_1 \) と \((R_2 \) と \( R_3 \) の並列) が直列につながった合成抵抗に電源電圧 \( E \) を加えたものとみなせる。
    つまり
    \[
    I_0 = \frac{E}{R_1 + \bigl(R_2 \parallel R_3\bigr)}
    \]
    となります。
  1. 定常状態 (十分時間が経過した後)
  • コンデンサは充電され、直流的には電流が流れない (開放) とみなせる。
  • このため、\( R_3 \) を含む枝には電流が流れず、回路は単純に \( R_1 \) と \( R_2 \) の直列回路となる。
    つまり
    \[
    I = \frac{E}{R_1 + R_2}
    \]
  1. 電流比の関係
    問題文より、
    \[
    \frac{I_0}{I} = 2
    \]
    となる条件を満たすように \( R_3 \) を求める。

STEP2. 数値を代入して計算

  • \( R_2 \parallel R_3 \) (並列合成抵抗) は
    \[
    R_2 \parallel R_3 = \frac{R_2 \, R_3}{R_2 + R_3}
    \]
  • 初期電流 \( I_0 \) は
    \[
    I_0 = \frac{E}{R_1 + \frac{R_2 \, R_3}{R_2 + R_3}}
    \]
  • 定常電流 \( I \) は
    \[
    I = \frac{E}{R_1 + R_2}
    \]
  • 比 \( I_0 / I = 2 \) を求めると、
    \[
    \frac{I_0}{I}
    = \frac{\dfrac{E}{R_1 + \frac{R_2 \, R_3}{R_2 + R_3}}}{\dfrac{E}{R_1 + R_2}}
    = \frac{R_1 + R_2}{\,R_1 + \frac{R_2 \, R_3}{R_2 + R_3}\,}
    = 2
    \]
  • この式を \( R_3 \) について整理していくと、
    \[
    R_1 + R_2
    = 2 \left(R_1 + \frac{R_2 \, R_3}{R_2 + R_3}\right)
    \]
  • 展開・変形を行い、最終的に
    \[
    R_3 = \frac{R_2}{\,R_1 + R_2\,} \,(R_2 – R_1)
    \]
    が求まります。

STEP3. 答えを導く

  • 選択肢の中では「\( \dfrac{R_2}{R_1 + R_2}( R_2 – R_1 )\)」にあたるものが正しく、これは選択肢 (5) です。

まとめ

今回の学習ポイントのまとめ

  • コンデンサの充放電回路では「初期状態 = 短絡」、「定常状態 = 開放」とみなせる点が基本となります。
  • 初期状態と定常状態で流れる電流経路が異なるため、抵抗の組み合わせ (直列・並列) が変わることに注意します。
  • 比例関係 (\( I_0 / I \)) を立式し、\( R_3 \) を求める流れが本問題の本質です。

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