平行板コンデンサの電極間距離を変えたときの静電容量とエネルギー
問題文(要約)
直流電圧 1000V の電源で充電された静電容量 8µF の平行平板コンデンサについて、電源から外したまま(電荷を保持したまま)電極間距離を初期の半分にしたとき、静電容量と静電エネルギーはどのように変化するかを問う問題です。選択肢は次の 5 つです。
(1) 16µF, 4J
(2) 16µF, 2J
(3) 16µF, 8J
(4) 4µF, 4J
(5) 4µF, 2J
重要度:必ず理解
このタイプの問題は「コンデンサの極板間距離を変えたときの容量変化」と「電荷が一定のときのエネルギーの変化」が同時に出題される頻出テーマです。静電容量やエネルギーの公式、そしてどの物理量が一定か(電圧一定か電荷一定か)に着目することがポイントになります。
出題意図とポイント
- 平行板コンデンサの静電容量は極板間距離に反比例することを理解しているか。
- 電源を外した後は電荷 \( Q \) が一定に保たれることを把握しているか。
- 静電エネルギーの式が \( \displaystyle U = \frac{Q^2}{2C} \) (もしくは \( \frac{1}{2}CV^2 \))であることを正しく使い分けられるか。
- 最終的な電圧・容量・エネルギーを計算して、正しい組み合わせを導けるかを確認する問題です。
正答番号:2
解法の手順
STEP1. 基本の公式等を確認
- 平行板コンデンサの静電容量は \( \displaystyle C = \frac{\varepsilon S}{d} \) となり、極板間距離 \( d \) を半分にすると静電容量は 2 倍になります。
- 電源から外す(開放)場合、電荷 \( Q \) が一定に保存されることがポイントです。
- コンデンサに蓄えられる静電エネルギーは
\( \displaystyle U = \frac{1}{2}CV^2 = \frac{Q^2}{2C} \)
(この 2 つは条件によって使い分ける)
STEP2. 数値を代入して計算
- 初期状態
- 静電容量:\( C_1 = 8\,\mu\mathrm{F} \)
- 電圧:\( V_1 = 1000\,\mathrm{V} \)
- よって電荷 \( Q \) は
\( \displaystyle Q = C_1 V_1 = 8\times10^{-6} \times 1000 = 8\times10^{-3}\,\mathrm{C} \).
(単位換算で 8mC とも表せます)
- 初期エネルギー \( U_1 \) は
\( \displaystyle U_1 = \frac{1}{2} C_1 V_1^2 = \frac{1}{2} \times 8\times10^{-6} \times 1000^2 = 4\,\mathrm{J} \).
- 極板間距離を半分にした後(開放状態)
- 極板間距離が 1/2 になると、静電容量は 2 倍になるため
\( C_2 = 16\,\mu\mathrm{F} \).
- 電荷は保存されるので \( Q \) は変わらず 8mC のまま。
- そこで新たな電圧 \( V_2 \) は
\( \displaystyle V_2 = \frac{Q}{C_2} = \frac{8\times10^{-3}}{16\times10^{-6}} = 500\,\mathrm{V} \).
- 新しいエネルギー \( U_2 \) は
\( \displaystyle U_2 = \frac{Q^2}{2C_2} = \frac{(8\times10^{-3})^2}{2\times16\times10^{-6}} = \frac{64\times10^{-6}}{32\times10^{-6}} = 2\,\mathrm{J} \).
STEP3. 答えを導く
以上の計算より、静電容量は 16µF、静電エネルギーは 2J となります。よって正解は選択肢 (2) です。
まとめ
今回の学習ポイントのまとめ
- 平行板コンデンサの容量は極板間距離に反比例するため、距離を半分にすると容量は 2 倍になる。
- 電源を外していれば電荷が一定に保たれるので、エネルギー計算には \( U = \frac{Q^2}{2C} \) を使うことが重要。
- 初期のエネルギーは \( \frac{1}{2}CV^2 \) で計算し、後のエネルギーは電荷一定の式で計算し直す手順を押さえる。